適応障害
自分の置かれた環境に適応できないことが原因で、心身に様々な症状がみられるようになり、日常生活に支障をきたしてしまう状態になっている状態を適応障害といいます。
発症原因がはっきりしていることが多いのが特徴で、多くは生活環境の変化です。例えば、新しい土地や職場、学校を移る、昇進、配置転換などがきっかけとなるようです。このように、適応障害は、ストレスに対する正常な感情的反応(ストレス反応)の延長線上にあります。正常なストレス反応との違いは重症度と生活への支障の大きさです。
症状としては、気分の落ち込み(抑うつ気分)、不安感、気力の低下などのほか、普段とは異なる問題行動(遅刻、欠勤、早退、暴飲暴食など)や身体症状(不眠、食欲不振、全身倦怠感、疲れやすい など)もみられるようになります。
うつ病とよく似た症状が生じますが、うつ病とは違ってストレスの原因や出来事がはっきりしているので、その原因を取り除けば次第に症状は改善されます。ただし、ストレスの原因から離れられない状況では、症状が慢性化することもあり注意が必要です
PTSD(心的外傷後ストレス障害)
死の危険に直面するような心的外傷(トラウマ)となる体験をした後、その体験の記憶が自分の意志とは関係なく思い出されたり、夢として出てきたりすることが続き、不安や緊張が高まったり、辛さのあまり現実感がなくなってしまう状態です。結果として、心的外傷体験に関連する刺激や活動を避けるようになり、日常生活に多大な支障が生じます。また、それまで安全だと思っていた世界が危険なものに感じられたり孤立している感覚に支配されたり、いら立ち・不安感・警戒心などを感じやすくなり自分が変わってしまったように感じたりすることもあります。
生死に関わる体験をすると、多くの場合不安や不眠などの症状が生じますが、ほとんどは一過性です。またフラッシュバックのような症状が生じたとしても、数ヶ月のうちに落ち着く人が少なくありません。しかし、PTSDの場合、体験から半年以上経っても楽にならず、かえってますます辛くなることが多く、数ヶ月から数年間経ってから、症状がはっきりとしてくる場合もあります。
PTSDの治療には、トラウマを扱う認知行動療法が有効といわれています。しかし、トラウマというデリケートな問題を扱う場合、治療者の能力や相性に左右される部分もあります。まずはしっかりとした信頼関係を結べる治療者をみつけることが重要かもしれません。また、PTSDには抗うつ薬などの薬物療法の有効性も報告されており、薬物療法によっても症状の軽減が図れることがあります。